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令和4年度高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編の概要

23.11.29

日車協連では「優良な車体整備工場の見える化」を受けて、車体整備士資格保有者の増強及び継続教育を目的に高度化車体整備技能講習を開催している。今号では、令和4年度高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編の概要を紹介掲載する。

国土交通省と日車協連及び日本自動車車体補修協会(JARWA)は、自動車の新技術・材料に対応した適切な車体整備を実施するための方向性、施策を検討する「車体整備の高度化・活性化に向けた勉強会」を実施している。日車協連は、同勉強会で提言された「優良な車体整備工場の見える化」と会員の事業活性化の実現に向けて、先進安全自動車対応 優良車体整備事業者の認定制度並びに自動車車体整備士資格取得者を対象とした高度化車体整備技能講習の推進などの事業活動に取り組んでいる。
 1月25日に開催された第101回教育委員会では、前回に続いて令和4年度高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編のインストラクター研修会の内容について説明、確認が行われた。その後、各委員による質疑応答を経て、下記の開催日程(予定)で同講習を実施することになった。

●自動車補修接合管理者制度の構築

1.背景及び目的
 先進安全自動車は省エネ、搭乗者保護など社会的課題に対応するため、軽量・超強度の車体構造に進化し、骨格部には1,500MPa級の超高張力鋼板が採用され、新たな補修技術が求められている。
 しかしながら、自動車メーカーから整備解説書などで提供される情報に適切な補修作業に資する技術情報が少なく、作業者は限られた情報や経験値により対処しており、作業品質の保証に確信が持てないでいる。また、高張力鋼板、超高張力鋼板は溶接をすると以前の強度回復が保てなくなっている。
 この状況に、日車協連は平成29年5月に「先進安全自動車対応 優良車体整備事業者」認定制度を発足させ、より高度な補修品質サービスを提供する体制の整備を推進している。
 この中で、車体構成部材の溶接品質について自動車整備業界には標準的な管理体制がないため、工業界の標準に準拠した管理体制とすべく、溶接関連の資格認証団体の一般社団法人日本溶接協会及び、技術研究・教育機関の一般財団法人日本溶接技術センターの指導を受けて品質管理制度を構築する。

2.品質管理制度の骨子

2-1 目的
 自動車の補修品質を確保するために必要な管理・知識・技能を有する要員を養成し、作業標準に基づく管理体制を調える。
2-2 推進体制
(1)主幹部門は技術委員会とし、委員会は理事会の諮問により、制度の運営・管理について検討し、理事会に答申する。
(2)日車協連加盟単組(または他団体)は、推進部門として日車協連の方針に沿い、加盟会員事業者に本制度を普及させる。

令和4年度高度化車体整備技能講習 インストラクター研修会

地域開催日開催場所
川崎会場4月23日日本溶接技術センター(神奈川県川崎市)
川崎会場4月24日日本溶接技術センター(神奈川県川崎市)
奈良会場5月15日奈良県自動車車体整備協同組合(奈良県磯城郡)
福岡会場5月29日福岡県自動車整備振興会(福岡県福岡市)

2-3 取り組み方針
 車体整備において、品質管理すべき作業をテーマに体制の構築を進める。その第一弾として、溶接品質の管理体制を構築する。
 溶接品質は、溶接管理者と溶接技能者の管理体制とし、これらの要員は資格制度により養成し、加盟事業者に各1名以上配備する。
2-4 受講者資格
 平成30、31年度高度化車体整備技能講習(溶接編、新素材編)を修了した者、もしくは日車協連技術委員会が相当と認める者。

●自動車補修接合管理者編ーー教本内容

1.溶接関連作業の安全衛生
1-1 安全衛生の基本
1-2 溶接ヒューム
1-3 リスクアセスメントの概要
1-4 関連作業における安全対策
1-5 保護具の例

2.溶接編復習

2-1 アーク溶接
2-2 車体用金属材料
2-3 鋼板の機械的特性
2-4 鋼板の金属組織と強度
2-5 超高張力鋼板
2-6 鋼板の材質変化
2-7 鋼板の強度と他の機械的特性の関係
2-8 スポット溶接部の品質
2-9 スポット溶接の継手強度評価
2-10 溶接部の必要強度

自動車補修接合管理者編 講習項目と時間割

【会場準備】
※スポット溶接機1台
※半自動溶接機(10~13人に対して1台)
※ピール試験機(8人に対して1台)
※テストピース(1人に対して2枚×3セット)

3.ミグ、マグ溶接

3-1 ミグ、マグ溶接の原理と装置構成
3-2 アーク溶接部の継手形式
3-3 アーク溶接部の不具合
3-4 シールドガスの役割
3-5 溶接ワイヤ
3-6 基本的な溶接条件
3-7 溶接部のビード制御
3-8 プラグ溶接

4.溶接施工と品質管理

4-1 溶接部の品質に影響する要因

5.溶接部の品質保証の方法

5-1 品質保証システムの例
5-2 溶接施工計画の作成
5-3 溶接施工要領の決定

6.自動車溶接補修における品質管理

6-1 補修溶接時の管理項目と記録
6-2 溶接部の試験方法
6-3 スポット溶接補修における施工管理
6-4 プラグ溶接補修における管理