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組合員各社の作業効率化を目指した取り組みと外国人技能実習生の受け入れ事業

23.11.29

茨城県自動車車体整備協同組合

働き方改革によって、2020年4月からは中小企業に対しても時間外労働の上限規制が適用されている。車体整備工場においては、同法令を受けたコンプライアンスの観点からはもちろん、工場処理能力及び利益率の向上という意味からも作業効率の改善は重要な課題である。そのような状況を受けて茨城県自動車車体整備協同組合(平井俊行理事長)は、助成金を活用して共有設備を導入し、組合員各社の作業効率化につなげるための活動を展開している。同単組が2016年度より開始した、外国人技能実習生の受け入れ事業の現状報告と併せて、活動内容を紹介する。

働き方改革推進支援助成金を活用し、作業時間短縮につながる共有設備を導入

茨城県車協は、働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)に申請し、このほど採択を受けた。
 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)は、中小企業主の団体が団体に所属する企業で働く労働者の労働条件改善を目的として、時間外労働の削減や賃金引き上げに向けた取り組みを実施した場合に、助成金を支給する制度。助成対象となる9つの取り組みが設定されており、茨城県車協はそのうち「構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業」で申請している。

今回の助成金で導入した主な設備機器とその目的は次の通り。

・ADASキャリブレーション用ターゲット
 すでに共用設備として保有しているスキャンツールで使用可能な、ADASキャリブレーション用ターゲットを拡充。現状は研修での利用や貸し出し運用に留まっているが、将来的には組合事務所で特定整備認証を取得をして、組合員が車両を持ち込んでエイミングなどの電子制御装置整備を行える環境を構築することも検討している。

電子制御装置整備を行える環境を構築することも検討している。
・窒素樹脂溶接機
 バンパーなどの樹脂部品補修を目的として導入。
・コンピューター調色システム
・ミキシングマシーン
・水性塗料対応各種スプレーガン
・塗装ブース
 塗装作業の効率化に寄与する設備機器を導入。組合員が研修などを通じて各種設備機器に触れることで、各社の塗装作業の効率改善・作業時間短縮につなげる。
・UV照射機
 UV・光硬化型塗料の利活用によって、板金作業の効率改善につなげる。

■導入した設備機器を用いて講習会を開催

茨城県車協は12月3日、助成金で導入した設備機器を用いた講習会を開催。
 窒素樹脂溶接機を用いた樹脂パーツ補修作業について、ラーニングストリーム社長・斎藤和実氏が解説。自動車部品に使用されている樹脂の種類やその見分け方、窒素シールドガスを用いた溶接法の利点などを紹介するとともに、樹脂溶接作業を実演した。
 続いてUV照射機とUV・光硬化型塗料を用いた補修作業について、トータルカーサービスKaZu社長・KTZ取締役の岩間和浩氏とKTZ社長の田中敏之氏が説明。UV・光によって塗料が硬化する仕組みや硬化を阻害する要因、安全衛生対策などについて解説した後、実際に各種UV・光硬化型塗料とUV照射機を用いた作業を実演した。
 その後、新たに導入したターゲットを用いて日産リーフ(ZE1系)のレーダーセンサーキャリブレーション作業を斎藤氏が実演。設備機器の使用方法だけではなく、効率的かつ高精度にADASキャリブレーション作業を進めるポイントなどが紹介された。
 助成金の採択を受けて平井理事長は「青年部会が鈴木哲也部会長を中心に準備を進めてくれたおかげで、助成金の採択を受けることができた。今回導入した設備機器を活用して、組合員の労働時間短縮につなげていく。また先進安全技術への対応は、我々組合員だけではなく整備工場なども苦慮している状況にあると認識している。今後は各種先進技術に対応できるハブ工場を設置して、組合内外で活用できる体制を構築していきたい」と、組合員各社におけるスタッフ労働環境の改善及び新技術対応に向けて、今後も積極的に推進していく姿勢を示した。

■外国人技能実習生の受け入れ事業

開発途上国の経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を支援することなどを目的として、茨城県車協が2016年度より取り組んできた外国人技能実習生の受け入れ事業は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時受け入れが困難な状況が続いていたが、入国の条件が緩和されたことなどを受けて、徐々に受け入れを再開している。
 ベトナム、ミャンマー、中国の送り出し機関と契約しており、2022年は9人の外国人技能実習生が来日。同年12月時点で6社の組合員が合計18人(塗装10人、自動車整備6人、溶接2人)の技能実習生を受け入れている。
 さらに茨城県車協は、特定技能外国人を受け入れる企業を支援する「登録支援機関」としての登録を受ける方針としており、登録申請に向けた準備を進めているところである。

今回助成金で導入した共用設備の一部(ターゲットスタンドは元々茨城県車協で所有していたもの)

窒素樹脂溶接機の講習

UV照射機及びUV・光硬化型塗料の講習

ADASキャリブレーションの講習