日車協連は国土交通省及び日本自動車車体補修協会(JARWA)と自動車の新技術・材料に対応した適切な車体整備を実施するための方向性、施策を検討する「車体整備の高度化・活性化に向けた勉強会」を実施している。同勉強会で提言された「優良な車体整備工場の見える化」を受けて、車体整備士資格保有者の増強及び継続教育を目的に高度化車体整備技能講習を開催している。今号では、令和4年度高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編のインストラクター研修会の概要を紹介掲載する。
挨拶する小倉龍一会長
日車協連は、4月23・24日に日本溶接技術センター(神奈川県川崎市)、5月15日に奈良県自動車車体整備協同組合会館(奈良県磯城郡)、同29日に福岡県自動車整備振興会館(福岡県福岡市)で令和4年度の高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編のインストラクター研修会を開催した。
同研修会は、日車協連が推進している「優良な車体整備工場の見える化」の実現に向けた取り組みの一環で、令和4年度の高度化車体整備技能講習の講師(インストラクター)の養成を目的としたもの。同技能講習の趣旨及び内容を周知することで、各都道府県の車体整備組合で実施する講習の内容やレベルを標準化する狙いがある。
4月23・24日に川崎会場で開催されたインストラクター研修会では、冒頭に小倉龍一会長が「昨年はコロナ禍の影響で実施できなかったが、高度化車体整備技能講習は5回目を迎えることができた。本日の講習は講師養成のためのもので、各単組に持ち帰り講義をされる時、受講者から質問を受けた際に答えられないということがないように積極的な参加をお願いしたい」と挨拶した。
なお、今年度の高度化車体整備技能講習は、自動車補修接合管理者制度の「溶接管理者」を育成するためのものとなる。今後、溶接管理者に加えて実務者向けに「溶接技能者」も創設される。両者ともに資格制度によって運用され、加盟事業所にそれぞれ1人以上を配置する方針だ。
研修会では、午前中にテキストに沿った溶接関連作業の安全衛生や接合の基本、溶接施工及び品質管理の座学、午後はグループに分かれてスポット溶接、プラグ溶接、ピール(はく離)試験などの実技が行われた。研修終了後には試験を行い、合格者に認定書が発行された。
菅貞明教育委員長(愛媛)は試験後の講評で、「本日の講義内容が今後の自動車補修接合管理者制度の礎となる。皆さんは全国にこの制度を拡大する上で重要な役割を担っており、奮起を期待したい」と、各単組の代表者を激励した。
今年度の高度化車体整備技能講習・自動車補修接合管理者編も、全国の車体整備組合において開催が予定されており、それに向けての準備が進められている。日車協連の組合員事業所としては、所属している単組の事務局に日程等を確認した上で、自動車補修溶接の新たな資格・管理制度を構築するための同技能講習に参加してもらいたい。
講評する菅貞明教育委員長
川崎会場の実習風景
川崎会場の実習風景
奈良会場の実習風景
福岡会場の実習風景