日車協連では、「優良な車体整備工場の見える化」を目指し先進安全自動車対応 優良車体整備事業者認定制度及び高度化車体整備技能講習を推進している。また、特定整備認証の取得促進に向けて、諸活動の運営に当たる各委員会がそれぞれの事業を展開している。今号では、直近の活動内容・状況を紹介掲載する。
■令和5年度高度化車体整備技能講習・ボディーアライニング&ホイールアライメント編
教育委員会及び技術委員会では令和5年度高度化車体整備技能講習のテーマを「ボディーアライニング&ホイールアライメント」に決定し、講習用の教本の製作及び講習内容の策定、インストラクター研修の実施に向けた準備などを進めている。
ボディーアライニングにおいては、車体整備の現場ではこれまで2次元計測が基本だったが、左右非対称の車両が多くなったために近年では3次元計測が必須となっている。講習においては、先進安全装置との関係性やボディーアライニングの基礎を再学習し、顧客への対応力及び理解度を向上させることを目的とする。
ホイールアライメントについては、たとえ高度化車体整備技能講習を受講しても、特定整備認証のパターン2(電子制御装置整備のみを行うパターン)での足回りの分解整備は違法行為となる。同講習では、ホイールアライメントの基礎知識や先進安全装置との関係性、令和9年に施行予定の自動車整備士資格制度改正も含めて、関連法令を改めて学ぶ内容とする。
目的
車両の先進安全装備において、アクセル、ブレーキ、ステアリングなど運転操作へ積極的に介入する機能が強化される中、それを支える車体や足回りの整備状態がこれまで以上に重要となっている。
事故車修理においても、それらの機能の復元が求められていることは言うまでもない。
そこで、昨今の電子制御システムの急速な発展に対応し、来る自動車の自動運転時代を見据えた、新しい「走る・曲がる・止まる」とは何かをボディーアライメント並びにホイールアライメントを見詰め直すことで再定義する。
主催
各都道府県車体整備協同組合・教育委員会
講習対象者
自動車車体整備士
講習内容(案)
表の通り
講師
日車協連・教育委員会において定めた講師
■自動車車体整備士課程における学科指導員を養成する講習会
教育委員会及び経営委員会は12月5〜7日、スタンダード会議室(東京都千代田区)で自動車車体整備士課程における学科指導員を養成する講習会を開催した。
同講習会は、養成施設における自動車車体整備士養成課程の学科指導員を養成するとともに、その資質を高めて教育効果の向上を図ることを目的としている。組合員事業所から自動車車体整備士技術講習を開催してほしいとの要望があり、実施したいが指導に当たる講師がいないために開催できていないという地域や単組もあり、今回は新たな学科指導員を養成するために日本自動車整備振興会連合会の協力の下で開催。各単組から21人が受講した。
3日間の講習の主な内容は次の通り。
第1部 養成施設の現状と今後の動向・・・0.5時間
第2部 講師の話し方、指導の仕方(講義及び実習)・・・5時間
第3部 講義模擬演習(実習)・・・6時間
修了判定試験(筆記)・・・1時間
その他(開講式等)・・・1.5時間
合計・・・14時間
その他に、ハラスメント研修や日車協連・小倉龍一会長による講話などもあり、最終日には判定試験を実施した。試験の結果、講習修了と判定された受講者には修了証書が授与された。
■日車協連コンプライアンス・チェックシート
経営委員会及び法関係対策委員会はこのほど、組合員事業所のマネジメントに活用できる日車協連コンプライアンス・チェックシートを製作、発行した。
同シートは組合員事業所に改めてコンプライアンス(法令遵守)を啓蒙し、工場経営を改善・強化するための一助とすることを目的としている。自動車車体整備推奨工場や先進安全自動車対応 優良車体整備事業場など各種認定制度の資格要件や取引上及び車体整備の関連法規に対して、自社(工場)の対応、取り組み状況などを点検、管理できる内容となっている。
記載項目は次の通り。
1.日車協連 自動車車体整備推奨工場の点検
2.国土交通省 優良認定制度/特殊整備工場の点検
2-1.設備・技術関連
2-2.管理組織関連
3.国土交通省 自動車特定整備事業の点検
3-1.未認証工場
3-2.認証工場
4.日車協連 先進安全自動車対応 優良車体整備事業者の点検
5.日車協連 優良自動車塗装工場の点検
6.取引上の点検
7.関係法令の点検
・改善事項覚書
・BP業界関連法規一覧
同シートは、各単組より組合員事業所へ配布される予定となっている。
学科指導員養成講習会での演習風景
2日目午後に講話をする小倉龍一会長