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自動車保険の闇……日車協は17.5%で満足してはいけない!?

24.05.31

■10年前から支払保険金より保険会社の取り分が多い傾向にあった!

なぜ、このようなことになったのか、2014年が境になっていることでピンと来た方も多いことだろうが、2013年10月は、事故あり係数を導入した年である。そこを境に収入保険料が一気に増えた。一方で支払保険金は漸減傾向にある。数値で細かく示すと下記のようになる。

事故あり係数の導入前後で、収入保険料が6,520億円伸びたのに対し、支払保険金は99億円減った。2008年から2013年までの付加保険料(保険会社の取り分)の平均は1兆3,568億円だったが、2014年から2022年の平均は2兆187億円と、実に2兆円を超えている。カーオーナーから集めた保険金の半分以上を保険会社が取ってしまっている。これが自動車の任意保険の姿だ。大規模自然災害や部品代高騰は2022年以前から顕在化していたことは明らかで、それによって保険会社の収益が圧迫されていたというシナリオが質の悪いフィクションであったことはこの資料からも明らかであろう。

■2022年の車体整備事業者が受け取った工賃は3,813億円!?

2022年の車体整備事業者の取り分を試算してみる。計算は任意保険の対物賠償と車両保険の支払保険金のうち、「自動車対自動車」と「自動車単独」の項目から求めた。対物賠償は5,401億円、車両保険は5,223億円で、およそ1兆624億円(支払保険金全体は1兆9,430億円)となった。この中には、自動車の部品代やレッカー台、代車費用などが含まれるため、純粋な工賃を割り出してみると…

工賃は、任意自動車保険 修理費費目別統計表から割り出す。工賃と塗装を工賃として扱った。もちろん塗装には塗装材料費が含まれると見られるが、一旦塗装はすべて工賃として扱った。計算結果は次の通り。

対物賠償:5,401億円×32.3%≒1,745億円
車両:5,223億円×39.6%≒2,068億円
車体整備事業者の工賃はおよそ3,813億円

車体整備事業者が受け取った工賃は、3,813億円しかないことが分かった。塗装工賃は約30%が材料費と、みてよいと考えるならば、実際は今少し低いだろう。

■日車協連の団体交渉を17.5%満額で通しても余裕

では、日車協連が保険会社に求めている17.5%(正確には以上)の工賃単価アップを通した場合は次の通り。

3,813億円×1.175%≒4,480億円

およそ667億円アップにしかならない。2014年以降、平均で6,520億円増えている収入保険料を、そのまま保険会社が付加保険料として持っていっていることを考えれば、667億円は全体の10%程度に過ぎない。支払の余力は充分あるとみて良いだろう。日車協連が交渉は継続していくことの真意はこの辺りにある。工賃単価17.5%アップが果てしない目標のように考える方も多いかもしれないが、見方を変えれば、原資は充分にあることが分かる。保険会社が苦しいことはない。統計資料がそれを示している。だからこそ、我々は17.5%を夢ではなく、現実的な数字だと受け止めて団体交渉を盛り上げていかなければならない。日車協が継続して交渉していく姿勢を見せているのは、こうした背景もあるのだ。