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福岡ダイハツ販売に勧告、代車無償提供で下請法違反

25.12.19

スズキ自販大分に続き全国で2例目、公取委が是正徹底

公正取引委員会は11月27日、福岡ダイハツ販売株式会社(福岡市博多区、資本金5,000万円)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の規定に基づき、勧告を行った 。同社が、顧客への代車として利用するため、下請事業者に対し自動車を無償で提供させていた行為が、「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」(下請法第4条第2項第3号)に違反すると認定された 。

違反行為の概要と不利益額

福岡ダイハツ販売は、顧客から請け負った自動車の板金塗装などの修理業務を、個人または資本金1,000万円以下の法人たる事業者である下請事業者24名に委託していた 。

同社は、遅くとも2022年(令和4年)8月から2025年(令和7年)4月までの間、自社が請け負う修理の顧客に代車として貸し出す目的で、下請事業者に対し、合計76台の自動車を無償で提供させていた 。

下請事業者が被った不利益の額は、リース料金、任意保険料、自動車税、償却費、維持管理費などの合計額として算定され、総額1,739万5,598円に上る 。

同社は、勧告に先立つ2025年(令和7年)9月25日までに、この不利益相当額全額を下請事業者に対し支払っている 。

公取委の対応と業界への影響

今回の勧告は、2025年(令和7年)4月24日に公取委が株式会社スズキ自販大分に対し、同様の代車無償提供で勧告を行ったのに続く、全国で2例目の事例となった 。

スズキ自販大分への勧告は、自動車整備業界における同様の行為に対する全国初の勧告として注目を集めていた。公取委は、下請法が「親事業者が自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害する行為」を禁止している(下請法第4条第2項第3号)という基本原則に基づき、代車の無償提供要請を違法行為として是正指導を徹底している 。

福岡ダイハツ販売の違反行為の調査期間が2025年4月までとされており、最初の勧告事例を受けて、公取委が自動車業界全体へ調査を拡大し、同様の慣行の是正を図っていると見られる。

公取委は、福岡ダイハツ販売に対し、以下の措置を講じるよう勧告した 。

  • 取締役会での確認:下請法違反であったことを確認し、今後、自己のために経済上の利益を提供させて下請事業者の利益を不当に害さないことを確認すること 。
  • 社内体制の整備:今後違反行為が行われないよう、営業担当者等に対する下請法の研修を行うなど、必要な措置を講じること 。
  • 周知徹底・報告:勧告に基づく措置を役員及び従業員に周知徹底し、取引先下請事業者に通知すること。また、措置を速やかに公取委に報告すること 。