
豊田合成は、自動車の外装部品に、裏面から光を透過させることでサインを表示する新技術を開発した。これは、デザインと機能を両立させるための加飾技術であり、非点灯時でも美しい外観を維持できるのが特徴だ。
新技術の概要
今回開発された「光透過技術」は、塗装面に裏側から光を当てることで、必要なサインや模様を浮かび上がらせるもの。これにより、非点灯時には従来の塗装面と変わらない質感や光沢を保ち、夜間や悪天候時には光のサインを表示できる。
従来、発光機能を外装部品に持たせるには、塗装面に無数の穴を開ける必要があり、非点灯時の見栄えが悪くなるという課題があった。同社は、塗料の配合設計や膜厚制御の技術を応用することで、この課題を解決。外観品質を損なうことなく、光による表現を可能にした。
この技術は、メタリック調の塗装面に対してもミリ波レーダーを透過させることができ、自動車の先進機能とも両立が可能となる。

補修時の課題
この技術が普及した場合、事故時の部品交換に際しては、新たな課題が生まれるだろう。補修は人の手による補修が難しく、補給部品はカラード(色付き)供給を余儀なくされる可能性が高い。
一般にバンパー等に代表される樹脂外板部品は、カラードで供給される場合もあるが、年数が経過するにつれて素地供給(無塗装)に切り替わる。しかし、人が塗れない場合、その選択ができない。特に主な用途と想定されるバンパーは損傷頻度が高い部品だ。
そうなった場合、補修技術に何らかの技術革新が生まれるか、それなりの価格にならざるを得ない。技術発表は、採用車両が具体的に決まっている場合と、そうでない場合がある。今回の場合はどうも決まっていないように見受けられる。そこには、生産時のコストだけでなく、補修時の部品代を含めた検討で何らかの課題があるのかもしれない。
しかしながら、採用された時の補修対応を含め、車体整備事業者にとって気になる技術であることは間違いない。


点灯時はロゴやシグネチャーが見えるが、消灯時は見えない。