保険会社との協定・工賃交渉における課題と打開策を議論

自動車車体整備業界における保険会社との協定および工賃交渉に関するセミナーが開催され、石川県と奈良県の業界関係者が集まり、地域ごとの現状と課題について活発な意見交換が行われた。
石川県の現状:レート交渉の難しさと「3次指数」の歴史
石川県では、団体協約前は指数対応価格が約6,070円~6,170円程度で協定されていたが 、団体協約後は7,000円~7,500円前後が最低保証の金額となっている 。しかし、この最低保証額からの上乗せ交渉が進まないという課題が共有された 。
- 3次指数を最初に導入:石川県は、1983年に発表された「第3次指数(補修塗装指数と外板板金修正指数が設定された)」を全国に先駆けて使い始めた地域であり 、これが保険会社にとって「行儀の良い県」というイメージを与え、結果としてアジャスターの査定が厳しくなる背景がある 。
- ディーラーの影響:一部のディーラーが団体交渉の金額(7,000円台)で了解してしまったことが、業界全体のレート交渉に致命的な影響を与えているとの声があった 。
- 交渉力の欠如:交渉を諦め、最低レート(7,000円台)で満足してしまう事業所が多く、その結果、没交渉となりレートの底上げを妨げている側面がある 。
奈良県の取り組み:交渉力の強化とディーラーレートの影響
一方、奈良県では、団体協約以前から、修理工場側が積極的な交渉を行う歴史がある 。
- 交渉の歴史:約20年前は修理工場がランクによって6,100円~6,500円程度のレートで協定していたが 、当時からアジャスターは「調整する」役割として、お互いに譲歩して価格協定が行われてきた経緯がある 。
- レート上昇の背景:奈良県のレート上昇は、若手を中心とした勉強会がきっかけとなり 、保険会社側からの意識が変わり 、アジャスターの理解が進んでいったとの分析がある 。
- ディーラーレートの影響:奈良県ではディーラーの指数単価が10,000円~11,000円と高めに設定されており 、これが下請けの工場も含めた業界全体のレートの「アッパー」を押し上げている要因の一つである 。
交渉を有利に進めるための具体的な提言
議論を通じ、工賃交渉を成功させるための具体的な戦略が提言された。
- 知識の習得と理論武装:
- 自研センターの指数とその前提条件を徹底的に学び 、理論で保険会社側の主張を論破できる力をつける 。
- 自社の適正レートを計算し 、その根拠を示す 。
- 根拠に基づいた見積もり(ボールを投げる):
- 車体整備工場側が自社の正規の値段であるという根拠を持ち 、現在の1.5倍~2倍程度の見積もりを意図的に作成し、協定額がどうなるかを検証しても良いのではないか 。
- 指数外の工数(ボルトのサビ取り、見積もり作成費用、説明責任のコストなど)を詳細に計上し、請求することを試みる 。
- アジャスターとの人間関係と交渉術:
- アジャスターとの人間的な信頼関係を構築し 、「好印象を抱くような感じで接す」ることが、交渉を円滑に進める上で大切である 。
- グロス(総額)ではなく、部品代を除いた工賃のみで交渉することで 、値引きの幅を物理的に下げ、工賃レートの維持・上昇を図る 。
今後の展望
石川県の組合員は、今回の意見交換を基に「勉強会」を開催し 、業界全体の意識と知識の底上げを図ることを目標とした 。また、保険会社が今後、工場の設備や資格をより見ていく姿勢であることから 、これを好機と捉え、個社ごとの交渉力を高めることが、適正な利益の確保につながると共有された 。



