日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)は10月27日、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手損害保険会社4社に対し、団体協約締結に向けた協議を正式に申し入れた。
協議の主要な議題は、2026年度の工賃単価の最低価格設定と、計上項目(積算項目)の目線合わせとなる。
組織体制を強化、交渉ノウハウ蓄積へ
日車協連は、今回の交渉から法関係対策委員会が交渉実務を担う組織体制に強化した。交渉経緯やノウハウを組織的に蓄積し、交渉の継続性を持たせる狙いがある。
泰楽委員長
「交渉は継続していくことが重要です。工賃単価のみならず、協定実務が互いにスムーズになるよう、交渉を進めて参ります。」
芝 委員
「この度の機会を得られたことに感謝しつつパートナーである損保各社皆様との交渉で地域の工場の声を届ける交渉をしたい」
小林 委員
「ユーザー様に対して、安全を提供することが我々の使命です。これからも適正な作業時間や金額を明確化し責任を果たすことで業界がより良い方向に発展して行くことを願っております。」
横岡 委員
「交通社会の安全安心を担保するには車体整備業界の存続繁栄が必須です。組合員の皆様のお声に耳を傾け、届けてまいります。」
中村 委員
「我々が考える修理費用と損保が考える保険金。似て非なるものですが顧客の安全と安心は共通だと信じ業界の未来の為に精一杯活動して参ります。」
工賃単価、数値明示を見送り 公的統計を注視
工賃単価の具体的な引き上げ幅について、日車協連は現時点での言及を見送った。前回交渉では、複数年度の物価や労務費を反映する形で具体的な数値設定が可能であったが、今回からは前年対比での交渉に移行する。交渉は今後、最低賃金動向、春闘の結果や、各種公的な統計の発表を見ながら進められる方針だ。
計上項目のグレーゾーン解消が焦点
今回、新たに議題に加わったのが計上項目の目線合わせである。これは前回交渉での産業廃棄物処理費用のように、工賃単価に含むべきか、それとも見積もりの項目として別途計上すべきかといった、**計上の可否が不明確な「グレーゾーン」**を解消することを目的とする。
泰楽委員長は、この取り組みについて「グレーゾーンを少しずつ解消し、協定をスムーズに進めていきたい」と述べ、車体整備事業者と損害保険会社の双方にとって重要な課題であるとの認識を示した。
団体協約の締結に向け、今後、両者間の協議が本格化する見通しだ。



