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車体整備士、新資格「電子制御装置整備士」へ移行――教材スリム化と指導技術の刷新図る

26.01.27

日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)は、自動車整備士資格制度の変更に伴い、現行の「自動車車体整備士」を新資格「自動車車体電子制御装置整備士」へと移行させる方針を固めた 。令和8年度後期からの本格運用を目指し、全国の講師陣を対象とした大規模な研修会を実施。最新技術への対応と、科学的根拠に基づいた指導法の導入により、次世代の整備士育成を加速させる 。

電子制御重視へカリキュラムの変化

今回の改定の柱は、急速に進化する自動ブレーキ等の電子制御装置への対応だ 。教科書は従来の7冊から5冊へとスリム化される一方、削減された時間は「電子制御装置」と「コンプライアンス」の学習に重点配分される 。

特に注目すべきは、実務の流れに即した章構成の刷新だ。従来の構成を入れ替え、「損傷診断」を「車体整備」の前に配置 。現場での作業フローに合わせることで、受講生の理解促進を狙う。また、軽量化が進む車体構造を反映し、アルミニウム鈑金技術や最新の塗装設備に関する記述も大幅に拡充された 。

新旧テキスト章構成比較表

科学が裏付ける「教える技術」

「どれだけ優れた知識も、伝わらなければ意味がない」。外部講師として招かれたJ-Laboの高梨氏は、講師の「ヒューマンスキル」の重要性を説いた 。研修では、以下の科学的法則を用いた講義テクニックが提示された。

  • ボブ・パイクの法則(90-20-8の法則): 人の集中力は90分が限界であり、記憶保持は20分、飽きずに聞けるのはわずか8分とされる。これに基づき、こまめな休憩や問いかけの導入が推奨された 。
  • メラビアンの法則: 第一印象は3~7秒で決まり、その要素の55%は視覚情報が占める。話の内容(言語情報)の影響はわずか7%に過ぎず、講師の表情や立ち居振る舞いが受講生の意欲を左右することが示された 。

デジタル化と「対面実習」の共存

今後の課題は、多様化する講習方式への対応だ。国交省の指針に基づき、リアルタイムの「ライブ配信」や、録画を利用する「オンデマンド配信」の導入が検討されている 。ただし、配信に際しては「なりすまし防止」や「カメラによる受講状況の確認」など、厳格な管理体制が求められる 。

一方で、技術の根幹を成す実習については、依然として「対面実施」を基本とする方針を堅持する 。各地域で異なる実習設備の格差を埋めるため、映像資料の活用や実習科目の全国共通化に向けた議論も始まっている 。

新旧試験が併存する令和9年3月の過渡期に向け、自動車整備教育は今、大きな転換点を迎えている 。